ドローン農業散布のデメリット/バッテリーは超高価なのに飛行時間◯◯分!?

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こんにちは!ドローン社長です!

ドローンのデメリットの話はあまりしたくないものですが、実際問題メリット・デメリットは何にでもあります。

特に農業ドローンを購入予定の方は、これをしっかりおさえる必要がありますので、しっかりとお話していきます。

具体的には、「農業用ドローンの飛行時間」「バッテリー価格」「バッテリーの必要本数」を知らないと、購入後に失敗したと思うかもしれません。

ちなみに今回の記事はDJI社のAgrasシリーズのスペック等を参考にした話になります。

農業用ドローンの基本情報

農業用ドローンの目的は、農家の担い手不足を補うことです。

人の手で行っていた作業が1/2〜1/5の時間でで終わるため、「ドローン1機で5人の人間を雇うのと同様」と言っても過言ではありません。

つまり、人員削減と省力化が一番の利点となります。

弊社ではデモフライトの依頼も随時受けていますので、ぜひ一度ご自身の目でドローンが飛行するのを見てもらいたいのですが、1反(10アール)の田んぼだと1分もかからずに散布が終わります。

DJI Agrasで言うと散布性能は、1時間で16町(16ヘクタール)もの面積が散布可能で、1町(1ヘクタール)は約8分で散布完了します。

ドローン散布資料

飛行時間の重要性

さて、ドローンの飛行性能については理解してもらえたかと思いますが、飛行時間が農業用途においてなぜ重要なのかをご説明します。

農家さんなら実際に体感していることですが、農作業にはロスタイムが非常に多いです。

たとえば、農家さんご自身が肥料散布するにしても、協同作業者が指定の場所に集まり、打合せをして肥料の準備をします。それから散布場所まで移動し、散布準備して散布。

夏場であれば随時休憩が必要となります。

また、大型農家になれば保有する圃場が隣接していないケースも多く、移動時間も多くなります。

タイムスケジュール

つまり、作業以外の時間が半分以上ということにもなり得ることから、ドローンの飛行時間(作業時間)はとても重要な要素となるのです。

DJI Agrasバッテリー1本の飛行時間は10〜15分です。

各メーカーのドローンもだいたい同じような飛行時間のようですが、積載する肥料/農薬の量(重さ)、風速が飛行時間に大きな影響を与えます。

ですので、どのような機体を購入するかは様々な条件により変わりますので、非常にむずかしい判断になりますが、以下のようなことを抑えておく必要があります。

Agras T10Agras T30
機体重量12.2kg26.4kg
液剤タンク容量8L30L
粒剤タンク容量10kg40kg
バッテリー価格約10万円約22万円
飛行時間10〜15分10〜15分

バッテリーの種類と価格

バッテリー1本に対し、ドローンの飛行時間は10〜15分ですので、バッテリー購入におけるポイントは「価格」と「汎用性」だと言えます。

まず、DJI Agrasシリーズのバッテリー価格です。

T10用バッテリー:約10万円/本
T30用バッテリー:約22万円/本

バッテリー1本が22万円とはなかなか容易に手が出ませんよね。

ですが、本当の問題はバッテリーを何本所有する必要があるかということです。

詳しくは次の項でお話しすることにして、汎用性についてを先にお伝えします。

DJIは2023年10月にAgras T25を発売しました。

Agras T25 - よりコンパクトに,よりスマートに - DJI
Agras T25は、コンパクトな農業用ドローンの新たな基準を確立します。軽量で機敏な動きが可能なT25は、一人でも簡単に操作できます。最大20 kg \の噴霧ペイロード、または最大25 kg の散布ペイロードに対応しています。また、T25...

T25とT30のバッテリーは共有できます。

つまり、機体を追加購入する場合、バッテリーの汎用性があり共有できれば追加投資が大幅に減らすことができます。

しかしながら、Agrasシリーズの販売割合はT10が7割、T30が3割でT10を購入された方で散布性能に不足を感じT30を購入するケースが多いとのことです。

agras販売割合

そうなるとT10とT30はバッテリーの汎用性がないので、新たにT30を買う場合はバッテリーもすべて揃える必要が出て、コスト面で大きな負担となります。

Agras T10Agras T30
機体価格約120万円約170万円
バッテリー4本約40万円
(約10万円/本)
約88万円
(約22万円/本)
充電器約17万円約21万円
粒剤散布装置約11万円約12万円
合計約188万円約291万円
※上記に加え送信機等が必要

必要なバッテリー本数の計算方法

バッテリーにおけるポイントは「価格」と「汎用性」だということは理解できたと思います。

では、散布に実際バッテリーが何本必要なのかというところですが、それは保有する圃場面積と圃場の配置や場所に大きく左右されます。

DJI Agras T30は1時間で16ヘクタール散布可能ですが、それは圃場が連続し障害物がないという条件で算出された散布面積です。

そのため圃場によっては1時間で1ヘクタールも散布できない場合もありますし、ご自身で所有しても操作に慣れないうちはバッテリ1本で20〜30アール程度しかできないかもしれません。
(けっこうあっという間にバッテリー残量が減ります)

そうなるとバッテリーの所有本数が多くないと、まったく作業が進まないということになります。

散布を何日間で終わらす計画なのかでもバッテリーの必要本数は違いますが、もし初めてドローンを購入されて1日で10ヘクタールの散布を終わらせようとするとバッテリー5,6本では足りず、もしかしたら10本でも足りないかもしれません。

ドローン社長
ドローン社長

↑この部分はかなり重要です!

そのため、DJIではD6000iという多機能インバーター発電機とバッテリー4本以上の購入を推奨しています。

このD6000iは専用発電機であるため、バッテリー20分もかからずフル充電可能です。

発電機D6000i

バッテリー管理と保守について

バッテリーの必要本数についてわかってきたかと思いますが、ドローンに使用されるバッテリーは少し特殊で高温に弱く、過去には発火事故も発生しています。

農業用ドローンのバッテリーでは、炎天下の屋外で直射日光下に置いておいた場合、バッテリー本体が著しく変形することがるようです。

また、空撮用ドローンが世の中に出始めた頃、機体とバッテリーを夏場の車内に置いたままにしておいて、バッテリーから出火し車両火災になったケースもあります。

車両火災

バッテリーを高温下に置かないことを注意すれば大丈夫ですが、こういった危険性も常に注意する必要があります。

また、バッテリーには寿命もあり、T30バッテリーは充電回数1,000と記載されています。

そのためドローンを保有する場合は、バッテリーを追加購入していく計画も立てる必要があります。

結論

長くなりましたが、今回の要点をまとめます。

となります。

私としては、ドローンが産業としてもっと発展するために農家さんにもどんどんドローンを購入してもらいたいと思っています。

しかしながら、経営目線で考えると利益分岐点が明確に見えているかが重要であり、短期でのコストダウンに成功しても長期ではコストアップという可能性が高いというのが現状です。

そのため、ドローンの農業に取り入れるにしても、まずは1〜2年は散布業者に委託して本当に自分たちでドローンを購入して運用できるのかを委託した散布業者からも意見を聞きながら精査されることを提案しています。

ドローンは遅かれ早かれ、日本の農業に大きく参入してきますが、そのメリットを最大限に活かすには綿密な計画が必要です。

農家さんでドローンを購入すべきか、それとも散布業者に委託すべきかを悩まれている方。または、ドローンの購入を決めたがどの機種にするか悩まれている方がいれば、お気軽にお問い合わせください。

石川県小松市 ドローン事業 肥料・農薬散布 YouTube 世界ミステリーゼミ 株式会社DRONE(ドローン)金沢 代表取締役 白石貴義 | 仕事を楽しむためのWebマガジン、B-plus(ビープラス)
【B-plus】石川県小松市に拠点を置き、ドローン事業を展開する株式会社DRONE金沢。ドローンによる肥料・農薬散布や田畑の点検作業を中心に、ドローンを使った空撮や映像制作、撮影した動画を効果的に広めるためのマーケティング、SNSやMEOの...
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